針ノ木岳|絶景の山頂から種池山荘へ縦走!新越尾根10H!

針ノ木岳山頂の標識(アイキャッチ)

「針ノ木岳」は「後立山連峰」の最南端にある山。

「針ノ木峠」にちなんでその名を命名されたのは大正時代になってからのことで、「針ノ木」とは周辺の谷に分布する「ハンノキ」のこと。

「黒部湖」をはさみ「立山連峰」と対峙していて、北アルプスのほぼ中央に位置することから北アルプス全域の眺望が抜群!

「日本三大雪渓」のひとつ「針ノ木雪渓」もあり、「日本二百名山」や「新・花の百名山」にも選定されるなど魅力たっぷりの名峰です。

たかはし昇一は2018年7月11日(水)にこの針ノ木岳に登頂しました。

前々日・前日(9日・10日)は、越中・信州をむすぶ間道として古くから知られていた針ノ木峠を「扇沢」から峠越え。

小屋開け前の「大沢小屋」では静寂・孤独なテント泊を経験し、圧倒的な美しさと厳しさをあわせもつ針ノ木雪渓に感動!

さらに「針ノ木小屋」ではアツアツの「針ノ木ラーメン」を食し、雪渓でキンキンに冷やされた缶ビールを飲むなど満喫して小雨降るテント場で眠りにつきました。

朝になって目を覚ましテントから出ると、昨夜の雨はあがってガスも消え去り北アルプスの絶景が目のまえに広がっていました。

針ノ木岳山頂を経て「新越尾根」を「種池山荘」へ、およそ10時間の縦走がはじまります。

●Day1(2018.07.11.Wed.):針ノ木小屋→針ノ木岳→種池山荘

針ノ木小屋から種池山荘までのルート地図

標準コースタイム

  • 06:00針ノ木小屋-07:00針ノ木岳(徒歩60分)
  • 07:00針ノ木岳-08:00スバリ岳(徒歩60分)
  • 08:00スバリ岳-09:45赤沢岳(徒歩105分)
  • 09:45赤沢岳-10:45鳴沢岳(徒歩60分)
  • 10:45鳴沢岳-11:15新越山荘(徒歩30分)
  • 11:15新越山荘-13:45種池山荘(徒歩150分)

コースタイム実績

  • 06:00針ノ木小屋-07:00針ノ木岳(徒歩60分)
  • 07:30針ノ木岳-08:30スバリ岳(徒歩60分)
  • 08:30スバリ岳-10:45赤沢岳(徒歩135分)
  • 11:00赤沢岳-12:00鳴沢岳(徒歩60分)
  • 12:15鳴沢岳-12:45新越山荘(徒歩30分)
  • 13:30新越山荘-16:00種池山荘(徒歩150分)

05:00

針ノ木小屋テント場の夜明け

きのうはガスのち雨で、針ノ木小屋テント場からの眺めはいまひとつでしたが、きょうは北アルプスの展望よし。

針ノ木小屋テント場の夜明けと北アルプス

正面の槍・穂高連峰はじめ、裏銀座の山々が見えています。個人的にこのアングルは新鮮です。

針ノ木岳テント場の夜明けと槍穂高連邦

どこから見ても一目でそれとわかる「槍ヶ岳」。日本の山といえば「富士山」がシンボルですが、登山者にとってはこの槍ヶ岳こそがアイドルでしょう。

針ノ木小屋テント場の夜明けと裏銀座縦走路

七倉ダム・高瀬ダムを起点に、烏帽子岳→野口五郎岳→水晶岳→鷲羽岳→三俣蓮華岳→双六岳→槍ヶ岳の裏銀座コースを縦走したのは3年前(2015年)のこと。

北アルプス最奥部のロングトレイルで、ダイナミックな山岳景観に圧倒されっぱなしだった。

こんどは裏銀座から表銀座に抜けて、燕岳山麓の中房温泉に下山するなんてコースもロマンがあるなあ。

06:00

針ノ木小屋テント場からの眺望と青空

夜から朝にうつりゆく光景に見とれていたら、すっかり陽が昇ってしまった。山・空・雲の三重奏が美しい。

いそいでテントを撤収し名残惜しさをふりきって、ようやくきょうの山旅をスタート!

針ノ木小屋から種池山荘までの所要時間は標準コースタイムで7時間45分。途中で写真撮影・休憩する時間を考慮するとあまりのんびりもしてられません。

まずは針ノ木岳の山頂に向かいます。

針ノ木峠から見た新越尾根の眺望

段々畑になっているテント場を登って稜線に出ると、きょう縦走する新越尾根が目の前にあらわれました。

この山容がまたとても美しくて、歩きだしてわずか5分で足が止まってしまう事態に。

新越尾根とその先に見える鹿島槍ヶ岳の眺望

「篭川谷」をぐるっと囲むように伸びる新越尾根とその先にある端正な山容の「爺ヶ岳」。そして奥に見えている双耳峰は後立山連峰の盟主の「鹿島槍ヶ岳」。

なんだかあまりにも荘厳な景観で、涙がひとすじ自然と流れました…登山はもう何年も楽しんできましたけど、はじめての経験です。

新越尾根・鹿島槍ヶ岳に青空と雲

真夏にもかかわらず「巻積雲」が発生してからか、秋の空のような感じがします。光のグラデーションが綺麗ですね。

針ノ木峠から針ノ木岳への登山道01

針ノ木岳に向かう道中でこんな絶景で出会えるとはうれしい誤算でしたが、先を急ぎましょう。

きょうは朝のうち晴れるところが多いもののしだいに前線が南下し、日本海側から湿った空気が入る影響で日中は雲がひろがりガスも発生しやすい予報。

早ければ昼すぎ、遅くとも夜からは雨が降るそうです。できればこのまま絶景の新越尾根を歩きたい。

新越尾根を越えようとする滝雲(寄り)

なんて思っていると、新越尾根の西側から雲が湧き稜線をつつんでしまいました。

新越尾根を越えようとする滝雲(引き)

これから新越尾根を歩くことを考えるとすこし残念ではありますが、これはこれで、とても幻想的な風景ですね。

針ノ木峠から針ノ木岳への登山道からの眺望01

針ノ木岳への稜線、新越尾根方面の反対側に見えている槍・穂高連邦や裏銀座の山々はまだ見晴らし抜群。

針ノ木峠から針ノ木岳への登山道02

登山道のさきが残雪におおわれています。

きのうのうちに種池山荘までのルート情報を針ノ木小屋の小屋番さんにヒアリングしたところ、残雪はあるもののピッケル・アイゼンは不要とのこと。

針ノ木峠から針ノ木岳への登山道から見えた針ノ木岳

こちらは針ノ木岳から新越尾根を1時間ほど歩いたさきにある「スバリ岳」。

残雪の北アルプスは青空・真っ白な雪、そして新緑とのグラデーションで山がよりいっそうすばらしく見えますよね。

針ノ木峠から針ノ木岳への登山道から見た蓮華岳

ふり返ると、きのうガスの中で稜線歩きを楽しみコマクサの大群生も観賞した「蓮華岳」が。

蓮華岳にはきょうのような晴れた日にいつかリベンジしてみたいなあ。

これから登頂する針ノ木岳とスバリ岳を眺めるたかはし昇一

針ノ木岳もだいぶ近づいてきました。山頂まではあとわずか!

針ノ木峠から針ノ木岳への登山道03

でも、近く見えるようでじつは思ってたより遠いのが登山あるある。斜面を登り、じわじわと標高を上げていきます。

針ノ木峠から針ノ木岳への登山道04

途中にある残雪はキャッチしていた事前情報通りカット済み。足場がフラットに整備されており、とてもありがたいです。

針ノ木峠から針ノ木岳への登山道05

だれとすれ違うことも、だれに追い抜かれることもない静かな朝の稜線散歩。聞こえるのはじぶんの足音と息づかいだけ。

針ノ木峠から針ノ木岳への登山道から見たスバリ岳と立山連峰

針ノ木岳とスバリ岳のあいだに「剱岳」の姿が!さすがに岩と雪の殿堂と呼ばれるだけあって、人間をよせつけない神々しさがありますよね。

針ノ木峠から針ノ木岳への登山道06

残雪を歩く箇所は、一歩一歩を慎重にすすめます。

針ノ木峠から針ノ木岳への登山道から見た針ノ木雪渓と蓮華岳

カットされていてフラットな足場があるとはいえ、もし滑落すれば無事では済みません。どんどん加速して数十メートル下の岩場に激突でしょう…

下方には針ノ木雪渓が。こうやって眺めると、篭川谷の周辺って本当に山深いですね。

針ノ木峠から針ノ木岳への登山道で稜線の反対側から見えた北アルプス

新越尾根・扇沢方面から、稜線をまたいで槍・穂高連邦と裏銀座の方面の斜面へ。

残雪期の山ってほんとうに美しい。そしてこの針ノ木岳への稜線もすばらしい!

針ノ木峠から針ノ木岳への登山道から景色を眺めるたかはし昇一 針ノ木峠から針ノ木岳への登山道からの眺望02

こちらの方面も予報どおり雲が湧いてきましたね。

針ノ木峠から針ノ木岳への登山道からの眺望03

雲ひとつない晴天は気持ちがいいものですが、雲があると風景に「そのときだけの表情」が生まれて素敵。

針ノ木峠から針ノ木岳への登山道の上空と巻積雲(いわし雲・うろこ雲)

針ノ木岳上空に綺麗にひろがっているのは巻積雲の「うろこ雲」でしょうか?見分ける方法があるようですが、「高積雲」の「ひつじ雲」との違いがわかりません…

針ノ木峠から針ノ木岳への登山道07

いよいよ針ノ木岳への道のりはあとわずか。はたして山頂からはどんな風景がひろがっているのでしょうか?

07:00

針ノ木岳の山頂と標識

針ノ木小屋から標準コースタイムどおり1時間。針ノ木岳の山頂に到着です!

針ノ木岳山頂の標識と風景を眺めるたかはし昇一

標高は2,805m。どれどれ、楽しみにしていた眺望はどうでしょうか?

針ノ木岳山頂から見た北アルプスの眺望

後立山連峰最南端で北アルプスのほぼ中央に位置する山ということで、噂どおり北アルプス全域の眺望が抜群です!

さきほどまでより雲がだいぶ多くなってきましたが、うまい具合に山頂は隠れずに見えているので、山々が雲に浮かんでいるようです。

針ノ木岳の山頂から見た黒部湖と立山連峰

黒部湖をはさんで対峙するのは立山連峰。正面に見えているのは「立山三山」ですね。右側にある剱岳は、いまにも雲にのみこまれてしまいそうです。

針ノ木岳の山頂から見た立山連峰

立山三山もみるみるうちに雲におおわれてきました。かろうじて山頂が出ていて、まるで岩と雪でできた空飛ぶ要塞のようです。

針ノ木岳山頂から見た北アルプスの眺望とおし寄せる雲

そんな景色を楽しんでいると、みるみるうちにボリュームのある雲が大量発生。おどろくべきスピードで流れ、厚みを増していきます。

針ノ木岳山頂の滞在時間30分ほどでしたが、あっという間に北アルプスの風景を覆い隠してしまいました。

07:30

針ノ木岳からスバリ岳への登山道01

針ノ木岳山頂からスバリ岳方面を見てみると、山頂はもちろん鞍部までガスにつつまれています。

針ノ木岳の上空はまだ青空が出ていて陽射しもありますが、ここもあまり時間のたたないうちにガスにつつまれてしまいそう。

針ノ木峠をはさんで針ノ木岳と対峙する蓮華岳はまだかろうじて見えていますが、その姿もだんだんとガスに隠されていきます。

針ノ木岳からスバリ岳への登山道から見た蓮華岳がガスに巻かれる様子01 針ノ木岳からスバリ岳への登山道から見た蓮華岳がガスに巻かれる様子02 針ノ木岳からスバリ岳への登山道から見た蓮華岳がガスに巻かれる様子03

残念ながら新越尾根はガスに巻かれながらの縦走となりそうです。

針ノ木岳からスバリ岳への登山道02

針ノ木岳からスバリ岳に向かって急なガレ場を下りはじめると、案の定ガスの世界に突入。

針ノ木岳からスバリ岳への登山道03 針ノ木岳からスバリ岳への登山道04

北アルプスらしく足場がざらついて滑りやすかったり、岩稜の細い道があったりと気のぬけない時間がつづきます。

針ノ木岳からスバリ岳への登山道05

ガスは薄くなって晴れ間がさすタイミングもありますが、遠くの眺望が望めるほとではありません。

針ノ木岳からスバリ岳への登山道とたかはし昇一

本来であれば進行方向に後立山連峰の鹿島槍ヶ岳や「五龍岳」「白馬三山」、そして左手には立山三山・剱岳といった名峰を愛でながらのハイキングになるはずだったのですが…

針ノ木岳からスバリ岳への登山道から見た針ノ木雪渓01

右手の眼下にはきのう登ってきた針ノ木雪渓が見えています。

針ノ木岳からスバリ岳への登山道から見た針ノ木雪渓02

縦走路がガスにつつまれてしまったのは残念ですが、本来は雪渓だってガスが発生しやすい場所。

それなのに、あんな青空のもとで雪渓を下から上まで堪能できたのは、とても運がよかったことと言えるでしょう。

「針ノ木雪渓」の回想

きょうだって、前線の動きによっては朝から雨が降るなど、より悪い結果になっていたこともあり得たわけです。

あまりに多くを望みすぎてしまうのは贅沢というもの。ここは気持ちをポジティブに切りかえて、ガスった稜線歩きを楽しむことにしましょうか。

針ノ木岳からスバリ岳への登山道に咲いていたコマクサ01

スバリ岳直下、ガレ場の登りにコマクサが!

針ノ木岳からスバリ岳への登山道に咲いていたコマクサ02

蓮華岳がコマクサの名所なのは知られていますが、スバリ岳の群生もなかなか見事です。

針ノ木岳からスバリ岳への登山道に咲いていたコマクサ03

群生の規模や株の大きさは蓮華岳に劣りますが、スバリ岳に咲くコマクサはひとつひとつ花の形が綺麗で、その気品とコロンとしたかわいらしさが急峻な岩稜帯で際だちます。

針ノ木岳からスバリ岳への登山道06

針ノ木岳山頂から下って登ること1時間。標準コースタイム通りスバリ岳に到着です!

08:30

スバリ岳山頂から風景を眺めるたかはし昇一

針ノ木岳とのあいだにある「マヤクボノコル」からの登りがなかなかハードでした。

標高2,752mのスバリ岳、その名は「スバリ」が「深い谷(すばまり)」を意味するからという説や「イワヒバリ」が巣を張るような岸壁が多く地元で「岩巣張り」と呼ばれていたことに由来するという説も。

スバリ岳山頂の標識と赤沢岳にのびる登山道

眺望はわずかに黒部湖が見えるだけなので、写真撮影をして次のピーク「赤沢岳」へ向けて稜線歩きを再開します。

スバリ岳から赤沢岳への登山道01

せっかく登ったのに下って、また登り返す。このアップダウンが稜線歩きの楽しみであり、体力的にシビアなところ。

スバリ岳から赤沢岳への登山道02

風に流されるガスに雄大な稜線とトレイル。こういった光景もなかなか迫力がありますね。

スバリ岳から赤沢岳への登山道から見た針ノ木峠・針ノ木小屋

ふり返えると、針ノ木雪渓の上部と針ノ木小屋が見えています。

雪渓でキンキンに冷やされたビールとアツアツの針ノ木ラーメン。きのうのことなのに、妙になつかしく思えます。

つぎに訪れることができるのは、果たしていつになるのでしょうか。

スバリ岳から赤沢岳への登山道03

これまでのトレイルとは違ってスバリ岳〜赤沢岳は「ハイマツ」など植物が豊富。

スバリ岳から赤沢岳への登山道04

白い「シャクナゲ」も綺麗に咲いています。わずかにピンク色のラインが入っていますね。

スバリ岳から赤沢岳への登山道05

ガスが晴れて目指す赤沢岳が見えてきました。その名のとおり山塊が赤いですね。

今回の山旅初日に大沢小屋手前で渡った「赤沢」が、あの山に降った雨や雪が谷に集まった流れだと思うとなんだか感慨深いものです。

スバリ岳から赤沢岳への登山道06

時刻はもうじき9時。標準コースタイム通りに歩けていれば、赤沢岳まではあと1時間ほどのはずです。

スバリ岳から赤沢岳への登山道を眺めるたかはし昇一

稜線の西側になだらかで気持ちのいいトレイルがつづいています。

スバリ岳から赤沢岳への登山道07

ただ部分的に東側の切れ落ちた崖上を通過するので、通常時はもちろん強風時にはより一層の注意が必要になります。

スバリ岳から赤沢岳への登山道08

とても細くて、いつ崩れてもおかしくなさそうな頼りない尾根をおそるおそる通過。

もし、途中でつまづいたり足を滑らしたら…

スバリ岳から赤沢岳への登山道09

こんな崖底に吸いこまれてしまうことになります。

ここは山なので柵のような安全設備もなしで通行可能ですが、地味に命の危険を感じるポイントでした。雨風がなくてよかった。

スバリ岳から赤沢岳への登山道10

ふたたび稜線西側の安定したトレイルに。そういえば、スバリ岳を過ぎたあたりから稜線上のガスが消えましたね。

スバリ岳から赤沢岳への登山道11

足場の岩がしだいに赤っぽさを増してきました。

スバリ岳から赤沢岳への登山道12

ハイマツ茂る急登で突然「ライチョウ」に遭遇!

写真におさめようとしましたがあちらも驚いた様子で、ハイマツ林にあわてて姿を隠してしまいました。

スバリ岳から赤沢岳への登山道をふり返って見た針ノ木岳と蓮華岳

ひとまず急登を登りきり、ふり返るとそこには針ノ木峠を境に対峙する針ノ木岳・蓮華岳の姿が。端正なピラミット型の針ノ木岳とたおやかな稜線の蓮華岳が対照的です。

スバリ岳から赤沢岳への登山道13

東側の斜面に「コバイケイソウ」を発見。毎年咲くわけではなく、まったく咲かない年もあるという不思議なお花です。

スバリ岳から赤沢岳への登山道14

ガスがとれてきました。ひさびさの青空がうれしい!

スバリ岳から赤沢岳への登山道15

あの小高くなっているところが赤沢岳のピークでしょうか?

スバリ岳から赤沢岳への登山道を歩くたかはし昇一

そろそろ行動時間は4時間になります。

すべりやすいザラ場・岩場の急登もあって疲労がたまってきました。ゆるやかに見えるトレイルですが、地味にきつい斜度です。

スバリ岳から赤沢岳への登山道16

スバリ岳から135分、標準コースタイムより30分遅れでようやく赤沢岳の山頂に到着。長かったな〜けっこう疲れました。

10:45

赤沢岳の山頂と標識

赤沢岳の標高は2,656m。さきほどのスバリ岳が2,636mですから、稜線のアップダウンをくり返して結局20m標高アップですね。

新越尾根縦走は2,805mの針ノ木岳をピークに標高を下げていくものだと勝手にイメージしていたので、体力的・精神的にけっこう消耗しました。

赤沢岳山頂の標識と鳴沢岳にのびる登山道を眺めるたかはし昇一

後立山連峰の爺ヶ岳より南の主脈は、篭川谷をかこむような半円形。その中間点にあるのがこの赤沢岳です。

赤沢山頂から望む立山連峰とたかはし昇一

ここから西に位置する剱岳とは直線距離が近く剱・立山連峰の展望が迫力満点…なのですが、きょうは山の中腹部と眼下の黒部湖が望めるのみですね。

赤沢岳山頂の標識と青空

今回は、谷筋に残雪のある山と青空が見えただけでよしとしましょう。赤沢岳そして剱・立山連峰よまたいつか。

赤沢岳から鳴沢岳への登山道01

つぎのピーク「鳴沢岳」へとつづくトレイル。美しい稜線ですね。

赤沢岳から鳴沢岳への登山道02

足場が不安定で細い尾根道をすすみます。

赤沢岳から鳴沢岳への登山道から見た霧と森

西側の谷をのぞくと、霧のなかに新緑の美しい木々が。湿潤で清らかな雰囲気です。

赤沢岳から鳴沢岳への登山道03

山肌を覆う緑が増え優しげな稜線になってきました。

赤沢岳から鳴沢岳への登山道04

東側、針ノ木雪渓がある篭川谷方面からはガスがもうもうと昇ってきます。

赤沢岳から鳴沢岳への登山道から見た立山連峰

剱・立山連峰との目線が低くなって、標高が下がってたことが分かりますね。谷底に向かって耳をすますと、沢のせせらぎも聞こえます。

赤沢岳から鳴沢岳への登山道05

進行方向のガスの中に、鳴沢岳のピークを示すと思われる標識がぼんやりと見えてきました。

12:00

鳴沢岳の山頂と標識

赤沢岳から60分、標準コースタイム通りで標高2,641mの鳴沢岳頂上に到着です。

鳴沢岳の山頂で空を見上げるたかはし昇一

鳴沢岳に着くころにはすっかりガスが濃くなって眺望ゼロに。

12:15

鳴沢岳から新越山荘への登山道01

鳴沢岳を出発し「新越山荘」へ向かいます。草の背が高くなり、足元も土が多くなってきました。

鳴沢岳から新越山荘への登山道に咲いていたピンクのシャクナゲ

華やかな淡いピンク色のシャクナゲが咲いてます。

色の違いは種類によるものなのでしょうか?シャクナゲは野生種も変種が多いそうです。

鳴沢岳から新越山荘への登山道02

岩場の急登です。手で体を支えながら慎重に下ります。

鳴沢岳から新越山荘への登山道03

新越山荘はどこでしょうか?なかなか建物が見えてきません。

鳴沢岳から新越山荘への登山道04

この先を下ったところかな?

鳴沢岳から新越山荘への登山道05

新越山荘の看板が出てきました。あと10分ほどのようです。

鳴沢岳から新越山荘への登山道06

ガスが風に流され、大きくなだらかな「新越岳」が顔をのぞかせました。

新越山荘は鳴沢岳と新越岳のあいだにある「新越乗越」に建つ山小屋。新越山荘から新越岳へはまた登りかえすことになります。

ここまでで行動時間はすでに6時間超。標準コースタイムからも遅れています。きょうはもう新越山荘に泊まろうかと弱気になりかけていたのですが…

この新越岳の山容を見て、心が折れるどころか不思議と「まだ歩きたい」という気持ちになりました。

鳴沢岳から新越山荘への登山道に咲いていたコバイケイソウ

新越山荘周辺は湿潤な環境を好むお花がたくさん咲いていて、コバイケイソウにもまた出会いました。

コバイケイソウの花弁は綺麗でボリュームがありますが、あまり香りはよくないんですよね。

しかも全草に強力な毒性がありますので、ぼくはその花言葉のとおり「遠くから見守る」ようにしてます。

鳴沢岳から新越山荘への登山道07

お花畑を抜けると建物が見えてきました。ほっとしますね。

12:45

新越乗越に建つ新越山荘

針ノ木小屋から6時間45分。標準コースタイムより1時間30分遅れでようやく「新越山荘」に到着しました。

営業期間が7月初旬〜9月下旬と短く、収容人数も80名ほど。訪れる登山者は比較的少なくこぢんまりとしていて静かな印象の山小屋です。

きょうのようにガスが発生していなければ、針ノ木雪渓・針ノ木岳・スバリ岳などの眺望がよいロケーションなんですよね。

新越山荘の内部にある売店カウンター

内装は明るく清潔で売店のラインナップもなかなか充実。壁にかかっている「登魂Tシャツ」が気になります。

対応していただいたスタッフさんがとても親切・丁寧な方でした。

新越山荘で買ったコーラとポカリスエット

ここまでに消耗した体力を回復させるためにコーラで水分・糖分補給。ポカリスウェットは念のためにの購入。

新越山荘で購入した賞味期限切れのコーラ

ドリンクはどちらも2ヶ月ほど「賞味期限切れ」。その代わり、通常価格の約50%オフ!

ちょっと気まずそうなスタッフさんに、ぜんぜん気にしませんよとお伝えします。

テラスのベンチでコーラを飲みながら、このまま予定通りに種池山荘まで進むか、きょうはここ新越山荘で行動を止めるかと思案します。

自宅での計画段階では、5:00に針ノ木小屋を出発して新越尾根を標準コースタイム通り7時間45分で踏破。13:00前後には種池山荘に到着できると思っていました。

しかし針ノ木小屋・針ノ木岳で絶景に見とれ、さらに写真撮影や休憩・疲労で遅れ、もう13:00なのにまだ新越山荘です。

新越山荘・種池山荘間の標準コースタイムは150分ですから、いますぐ出発して順調なペースで歩けても種池山荘到着は15:30と遅い時間になってしまいます。

正直なところ、ガスで道中の眺望がないのもネック。

あしたは種池山荘から「柏原新道」を下って扇沢へ戻り、そこから新宿に帰るだけ。朝の天気にかけてみる?

ただ予報によると、あしたの午前中は気圧の谷の影響で雨が降りやすい天気。午後は晴れ間が多くなる見込みですが、回復が遅れる可能性もありそう。

最悪のケースを想定すると、新越山荘から種池山荘までの稜線で雨にさらされ、扇沢まで標準コースタイムで計5時間30分歩くことになります。

きょうは夜から雨の予報ですが、いまのところはにわか雨もありません。種池山荘まで行っておけば、あしたは下山のみで3時間ほど。

疲労もあり新越山荘でまったりする誘惑にかられましたが、コーラで元気もでましたので弱気を打ち消して種池山荘に向かうことにします。

新越山荘にテント場はありませんが、こんどは逆コースを歩いて宿泊してみたいものです。

13:30

新越山荘から岩小屋沢岳への登山道01

そうと決断したらすぐ出発!

新越山荘の建つ新越乗越は標高2,462mですから、まずは2,623mの新越岳まで約200mの登り返しです。

新越山荘から岩小屋沢岳への登山道02

東側・篭川谷方面にある急斜面を登っていきます。

新越山荘から岩小屋沢岳への登山道03

ここ付近だけなぜか無風・高温でムワッとした異常な暑さ。滝のように流れる汗が目に入って痛い!

新越山荘から岩小屋沢岳への登山道から望む立山連峰

稜線に出ると、雲に隠れた剱・立山連峰の姿と吹きぬける涼しい風にほっと一安心。

新越山荘から岩小屋沢岳への登山道04

やっぱり稜線はいいですね。

それにしても、さっきまでのあの暑さはなんだったんでしょうか?もしもっと続いてたら、ちょっと危なかったかも知れません。

新越山荘から岩小屋沢岳への登山道05

40m先の頂上までは行けますが、その先は道がないので必ず戻ってきてください(通り抜けできません)。この頂上は新越岳であり、岩小屋沢岳頂上は、ここから種池方面へ15分ほど行ったところです。

分岐点に立っている黄色い看板によれば、右側へ行くと新越岳の頂上に出れるようです。

新越山荘から岩小屋沢岳への登山道06

ガスで眺望もないので新越岳のピークはパス。なだらかなトレイルの先を急ぐことにします。

14:15

岩小屋沢岳の山頂と標識

新越山荘からおよそ45分。新越尾根縦走における最後のピーク「岩小屋沢岳」に到着です。

晴れていれば正面に鹿島槍ヶ岳が望めるはずなのですが、ガスで視界はないので標識のみ撮影して目指す種池山荘へ。

岩小屋沢岳から種池山荘への登山道01

トレイルが土っぽくなり、草木の背も高くなってきました。

さきほどの岩小屋沢岳は標高2,630m、種池山荘は2,455mですので200mほど下ることになります。

岩小屋沢岳から種池山荘への登山道02

トレイル右手が崩落している危険箇所の通り抜けが続きます。

岩小屋沢岳から種池山荘への登山道03

いまにも崩れ落ちそうな崖上に「イワカガミ」の群生が。

岩小屋沢岳から種池山荘への登山道04

トレイルはフラットで幅も十分ありますが、ざわついて滑りやすので油断は禁物ですね。

岩小屋沢岳から種池山荘への登山道05

ガスが立ちこめる谷底はなんだか不気味ですが、もし晴れていればそれはそれで高度感があって怖そうです。

岩小屋沢岳から種池山荘への登山道06

危険箇所を抜けるとなだらかなトレイルが伸びています。

岩小屋沢岳から種池山荘への登山道07

トレイルのところどころにはちょっとした残雪も。

岩小屋沢岳から種池山荘への登山道08

樹林帯に突入。「ダケカンバ」のような背の高い木々も茂っています。

岩小屋沢岳から種池山荘への登山道09

斜面に立つ針葉樹のシルエット。枝葉のバランスが不自然なのは、谷底から強風が吹きつけるからでしょうか?

岩小屋沢岳から種池山荘への登山道10

トレイルに木製の橋がかけられています。人工物が増えてきて、種池山荘が近くなってきたことをうかがわせます。

岩小屋沢岳から種池山荘への登山道11

ここ数日は雪渓や岩の稜線を歩いてばかりだったので、土やぬかるみを懐かしく感じます。

田中澄江が「新・花の百名山 」で針ノ木岳を代表する花のひとつとして紹介した「キヌガサソウ」。

岩小屋沢岳から種池山荘への登山道に咲いているキヌガサソウ

トレイルの脇に、綺麗に咲いた状態のものを発見しました。

葉が均整のとれた放射状を成していて、大きくて透明感のある白い花が高貴に感じられますね。

岩小屋沢岳から種池山荘への登山道12

キヌガサソウが咲くぐらいなので、周囲は深山の湿潤な湿地帯。ガスも濃くなってきました。

岩小屋沢岳から種池山荘への登山道からの眺望01

あまり眺望がなく変化にもとぼしいので少し飽きてきてしまいました。種池山荘はまだかなあ。

岩小屋沢岳から種池山荘への登山道13

なだらかなで斜度もゆるやかなトレイルが続きます。

岩小屋沢岳から種池山荘への登山道14

きのう針ノ木雪渓を登ったのでもう雪道はおなかいっぱいなのですが、陰になっている部分には残雪がまだ多いですね。

岩小屋沢岳から種池山荘への登山道15

木のトンネルと抜けると、そこは種池山荘?

岩小屋沢岳から種池山荘への登山道からの眺望02

残念ながらまだまだのようですね。奥に小規模な雪渓と雪解け水の流れが、右手方向には「ニッコウキスゲ」のような花の群生が見えます。

岩小屋沢岳から種池山荘への登山道16

時刻は15:30。早ければそろそろ種池山荘に到着してもいい頃なはず。疲れたし、飽きたし、少し焦ってもきました。

岩小屋沢岳から種池山荘への登山道16

小さな池のあるポイントを過ぎました。足場が石畳のように整備されていますね。種池山荘はもうすぐ?

岩小屋沢岳から種池山荘への登山道16

このピークを越えて、あのガスの先にあるといいのだけど…

岩小屋沢岳から種池山荘への登山道17

しばらく下って、また地味な登りが現れました。もう勘弁してほしいなあ。

岩小屋沢岳から種池山荘への登山道17

あの先に今度こそ種池山荘があってほしい。疲れ・飽き・焦りが重なったからか、精神状態がなんだか少し不機嫌になってきてしまいました。

種池山荘のテント場

よかった!どうやら種池山荘のテント場に到着したようです。時刻はもうすぐ16:00ですが、テントは1張もありません。

周囲を樹木に囲まれているため晴れていても眺望はなさそうですが、広くてフラット。ペグもよく効きそうですね。

岩小屋沢岳から種池山荘への登山道17

テント場まで来てしまえば、もうほんのわずかな距離で山荘のはず。

岩小屋沢岳から種池山荘への登山道18

ようやく念願の種池山荘が見えてきました。

16:00

種池山荘の外観

針ノ木小屋を出発したのが06:00。針ノ木岳・スバリ岳・赤沢岳・岩小屋沢岳など新越尾根を縦走し、10時間後の16:00にようやく「種池山荘」に到着しました。

針ノ木小屋から種池山荘までの標準コースタイムは7時間45分。+2時間15分という大幅な遅れです。

絶景だった針ノ木岳山頂での滞在時間30分やスバリ岳〜赤沢岳間での30分遅れ、合計で約1時間ほどの休憩や写真撮影の時間が積み重なりましたね。

とにかく無事に着けてよかったですが、計画が甘かったことを反省です。

種池山荘の前にかかっている鐘

種池山荘は収容人数200名ほどということで、さすがに大きくて立派な山小屋。爺ヶ岳や鹿島槍ヶ岳登山の重要なベースキャンプ地です。

扇沢出合からここ種池山荘までの柏原新道はよく整備されていて、標準コースタイムは3時間50分ほどと老若男女にやさしいコースとして知られています。

種池山荘の内観(受付カウンター)

さっそく小屋内のカウンターで受付をしていただきましょう。

テント場からの眺望がなさそうですし、10時間縦走の疲労と今夜からあす朝にかけての雨降り予報で、テント泊をするモチベーションが上がりません。

せっかく愛用テントのヒルバーグ「ウナ」を背負ってはいるのですが、きょうはひさしぶりに山小屋泊をさせていただくことにしました。

食料はあるので素泊まりですが、費用は1泊6,300円とテント泊700円の9倍のお値段。でもきょうは小屋の温もりと安心感がほしいんです。

種池山荘の内観(玄関・階段)

受付カウンターの前には広い土間。靴を脱ぎ、スリッパに履きかえます。

種池山荘の内観(談話スペースとストーブ)

一画には談笑スペースが。テレビ・雑誌やストーブもあって居心地がよさそうですね。

種池山荘の内観(11号室のドア)

案内された部屋は2階の11号室です。

種池山荘の内観(11号室の中)

山にいるのに清潔な畳と暖かい布団があるなんて…下界ではごくあたり前のことでも、テント泊ばかりしているとこれだけでも贅沢に感じます。

種池山荘の内観(11号室の中にしいたふとん)

部屋の好みの場所を占領してさっそく布団をしきます。

シーズン序盤・週中の平日ということで宿泊客は少ないようです。11号室もぼく以外に宿泊者はおらず貸し切り状態。

バックパックから荷物を出し、整理整頓。体をふき、一息ついたら必要なものだけ持って自炊室へ。

種池山荘の自炊室への入口

自炊室は1階の下駄箱の脇、乾燥室へ行く途中にありました。

種池山荘の自炊室の様子(奥)

部屋に入ってみると、奥にはテーブル2つを挟むようにして長椅子が4脚。

種池山荘の自炊室の様子(手前)

入口付近にはテーブル2つと長椅子2脚とカウンターのようになっています。右側のカウンターに陣取ることにしました。

種池山荘で購入した賞味期限切れの缶ビール

自炊の場所を確保したらまずは缶ビールを購入。

本来ショートサイズ550円・ロングサイズ750円なのですが、この缶ビールは「賞味期限切れ」につきロングなのに500円と格安!

新越山荘で買ったジュースも賞味期限切れでしたよね…今回の山旅ではなんだか賞味期限切れに縁があるようです。

種池山荘の自炊場にかかっていた北アルプスの立体地図(引き)

ビールを飲みながらふと目線を上げると、壁に後立山連峰の立体地図がかかっています。篭川谷周辺どう表現されているのかな?

種池山荘の自炊場にかかっていた北アルプスの立体地図(寄り)

きのうは谷の中央部分から南下し針ノ木雪渓を登って稜線に出て、きょうはこの高くなっている尾根を歩いてきたわけか。

後立山連峰の爺ヶ岳より南の主脈が、篭川谷をかこむような半円形であることが視覚的によくわかっておもしろいです。

種池山荘の入口に貼ってあった「薬師の湯」の案内

小屋の外にある給水所に向かおうとドアに手をかけると、大町温泉郷「薬師の湯」のご案内が。しかも割引券をいただけるとのこと!

下山後はぜひ大町温泉で入浴してサッパリしたいと思っていたので、こんな好都合なことはありません。

種池山荘の給水所

水は山荘宿泊者であれば1リットルまで無料。それ以降は1リットル150円で分けていただけます。

種池山荘で入手した「薬師の湯」の割引券(表)

山荘内に戻ってさっそく薬師の湯の割引券をゲット!1枚で5名まで100円引きになるようです。

種池山荘で入手した「薬師の湯」の割引券(裏)

大町温泉郷でバス下車し徒歩3分の立地とアクセスも良好。向かいにある「酒の博物館」も気になります。

夕食はマイ定番のアマノフーズの「畑のカレー」にサタケの「マジックライス」。山ではカレーが食べたくなるんですよね。

種池山荘での夕食「畑のカレー」と「マジックライス」昨夜とまったく同じメニューですが、このクオリティにはぜんぜん飽きることはありません。水・燃料が少量かつ短時間で完成する手軽さも魅力です。

そして、水分・塩分補給と食器汚れを落とす目的を兼ねた明治「JAL ビーフコンソメ」。

種池山荘での夕食「JALビーフコンソメ」

JALの機内食で好評のスープがベースの高品質ビーフコンソメは100%国産ビーフエキスの豊かな風味・コクで、疲れた体に温かく染み渡ります。

06:30

種池山荘前からの眺望(夕方)01

夕食を済ませて小屋前のテラスに出ると、さきほどまでの濃いガスが去り、蓮華岳・針ノ木岳・スバリ岳の姿が見えるようになりました。

種池山荘前からの眺望(夕方)02

しだい稜線の西側から昇ってきたガスが尾根を越え、大河のように篭川谷へ注いでいきます。

種池山荘前からの眺望(夕方)03

ガスがまた濃く厚くなってきました。蓮華岳を呑み込み、こんどは針ノ木岳を覆い隠そうとしています。

あの遠く針ノ木岳からここ種池山荘までの新越尾根縦走は、標準コースタイムを2時間15分ほどオーバーし10時間に達する長い道のりでした。

途中ガスに巻かれてしまう時間も多かったものの、それもまた神秘的で山の魅力のひとつでしょう。

北アルプスの絶景や過酷な環境で健気に咲く花、そして雄大な稜線を満喫することができました。

針ノ木小屋テント場からの眺望と青空の回想 新越尾根とその先に見える鹿島槍ヶ岳の眺望の回想 針ノ木岳の山頂と標識の回想 針ノ木岳の山頂から見た黒部湖と立山連峰の回想 針ノ木岳の山頂から見た立山連峰の回想 針ノ木岳からスバリ岳への登山道に咲いていたコマクサ03の回想 スバリ岳から赤沢岳への登山道05の回想 赤沢岳山頂の標識と青空の回想 赤沢岳から鳴沢岳への登山道01の回想 赤沢岳から鳴沢岳への登山道から見た霧と森の回想 赤沢岳から鳴沢岳への登山道04の回想 鳴沢岳から新越山荘への登山道に咲いていたピンクのシャクナゲの回想 鳴沢岳から新越山荘への登山道06の回想 岩小屋沢岳から種池山荘への登山道に咲いているキヌガサソウの回想

あしたは柏原新道を通り扇沢に下山するだけ。今夜は快適な種池山荘でゆっくり寝て、縦走の疲れをとることにします。

薄い天幕のみで隔てた空の下で寝起きするテント泊にはロマンがありますが、温もりと安心感では小屋泊にかないませんね。

灯りを消しふとんにくるまって目を閉じると、雨粒が窓ガラスを叩く音が聞こえてきました。どうやら予報どおり降りだしたようです。

山行費用(合計7,850円)

  • 新越山荘:550円(ジュース2本)
  • 種池山荘:6,300円(素泊まり)/1,000円(ビール2本)

●Day2(2018.07.12.Thu.):種池山荘→扇沢→新宿

種池山荘から扇沢までのルート地図

標準コースタイム

  • 05:30種池山荘-08:30扇沢(徒歩180分)
  • 08:55扇沢駅-09:10大町温泉郷(バス15分)
  • 10:10大町温泉郷-10:30信濃大町駅(バス20分)
  • 11:33信濃大町-12:36松本(電車63分)
  • 13:02松本-15:33新宿(電車151分)

コースタイム実績

  • 05:30種池山荘-08:30扇沢(徒歩180分)
  • 08:55扇沢駅-09:10大町温泉郷(バス15分)
  • 10:10大町温泉郷-10:30信濃大町駅(バス20分)
  • 11:33信濃大町-12:36松本(電車63分)
  • 13:02松本-15:33新宿(電車151分)

04:30

種池山荘前からの眺望(朝)01

雨は昨夜遅くには本降りとなりましたが、夜明け前にやみました。小屋泊はやっぱり快適ですね。

荷物をまとめ、自炊室でつくったアマノフーズ「ビストロリゾット」を手に小屋前のテラスへ。ひんやりとした空気を吸いこみます。

種池山荘前からの眺望(朝)を眺めらがらの朝食「トマトとチーズのリゾット」

東の空を見ると、遠くの雲がだんだんと明るく色づいてきました。左手には綺麗な円すい形をした爺ヶ岳が見えています。

種池山荘前からの眺望(朝)02

上空・谷どちらにも雲が多くてパッとしない夜明けですが…

種池山荘前からの眺望(朝)03

しだいに新越尾根上空の雲にも朝陽が当たり、

種池山荘前からの眺望(朝)04 種池山荘前からの眺望(朝)05

剱岳の山頂部分を神秘的に明るく照らし出しました。

種池山荘前からの眺望(朝)06

蓮華岳の上空には、天に向かって伸びるカラフルな光の帯も出現!

種池山荘前からの眺望(朝)07

谷にあった雲はどんどん膨らみ、蓮華岳と針ノ木岳に迫っていきます。きのうの朝は絶景が望めた針ノ木岳山頂もすでに雲の中。

種池山荘前からの眺望(朝)08

太陽と雲そして山々が光・影・陰を生み出し、奥行きある複雑な風景を織り成します。

種池山荘前からの眺望(朝)09

ようやく新越尾根が太陽に明るく照らされました。

種池山荘前からの眺望(朝)とたかはし昇一

いい朝でした。こんなにゆっくり楽しめたのは、きのう新越山荘の誘惑に負けず種池山荘までがんばって歩いてきたからですね。

こんどは種池山荘から逆ルートを歩いて新越山荘に泊まって新越尾根の絶景稜線歩きを楽しんで、針ノ木岳・蓮華岳から七倉に抜けてみたいなあ。

05:30

種池山荘から扇沢への登山道「柏原新道」01

周囲もすっかり雲に覆われてしまいました。山が名残惜しいのですが、そろそろ扇沢に向けて下山を開始します。

種池山荘から扇沢への登山道「柏原新道」02

種池山荘周辺には、コバイケイソウはじめたくさんのお花たちが。

種池山荘から扇沢への登山道「柏原新道」03

柏原新道は噂どおり綺麗に整備されています。足元は岩畳のようにフラット。とても歩きやすいですね。

種池山荘から扇沢への登山道「柏原新道」04

樹林帯に突入。雲が出ているせいできょうは景色がありません。

種池山荘から扇沢への登山道「柏原新道」05

本来は見所とされているであろう場所もどんどんスルーして先に進みます。

種池山荘から扇沢への登山道「柏原新道」06

稜線のガスは濃く、晴れていればくっきり見えるのであろう爺ヶ岳も望めません。

種池山荘から扇沢への登山道「柏原新道」07

ルート通過時の注意事項を示す看板が。注意の方法が具体的に書かれていて、ビギナーにも優しいですね。

種池山荘から扇沢への登山道「柏原新道」08

おととい針ノ木雪渓でさんざん歩いた残雪も登場。土の道を歩かしてほしいなあ。

種池山荘から扇沢への登山道「柏原新道」09

近づいてみると、なかなか幅が広いですね。ルート上の雪はフラットにカットされているのでアイゼンは装着しません。

種池山荘から扇沢への登山道「柏原新道」10

危険ポイントは短くても油断は禁物。滑落・落石に注意して慎重に通過します。

種池山荘から扇沢への登山道「柏原新道」11

こんどはガラ場。ここも滑落・落石に注意を払って、できるだけすばやく通過しましょう。

種池山荘から扇沢への登山道「柏原新道」12

ここで、すれ違った男性から「クマ出現」の情報提供が!カーブを曲がって直線に入ったら数メートル先に突然いたとのことです。

登山道脇の草むらを下方向に逃げていったそうなので、下山途中で鉢合わせる可能性もゼロではありません。

有名なメジャールートですし、ここまで10名弱の登山者とすれ違っていましたが、出るときは出るんですね。

いまさらですが念のため、クマ避けにエキスパートオブジャパンの「ミニベル」を装着しておきますか。

種池山荘から扇沢への登山道「柏原新道」から見上げた種池山荘

ぽっかり空いた木々の窓。谷間に雪の残る新緑の山。雲の切れ間には青空が。

稜線の右側には種池山荘の姿も小さく見えていますね。ずいぶん下ってきてしまいました。

種池山荘から扇沢への登山道「柏原新道」から見下ろした扇沢駅

そして眼下には扇沢駅が。もうすぐ今回の山旅も終わりですね。ほっとするような、寂しいような。

種池山荘から扇沢への登山道「柏原新道」12

ついにケルンまでやって来ました。登山道入口まではあと1時間ほどのはず。

種池山荘から扇沢への登山道「柏原新道」13

植生が変わり、トレイルも岩のゴツゴツした感じから土のフカフカした感触に。

種池山荘から扇沢への登山道「柏原新道」14

登山道入口を示す標識を通過すると…

種池山荘から扇沢への登山道「柏原新道」15

茂みの先が開けました。自動車なんて2日ぶりに見ます。

08:20

種池山荘から扇沢への登山道「柏原新道」16

ここまで種池山荘から約2時間45分とほぼ標準コースタイム通り。

種池山荘から扇沢への登山道「柏原新道」17

少し奥まった場所にあるので、初日に信濃大町駅から扇沢駅に向かうときには場所に気がつきませんでした。

柏原新道から扇沢への車道

ここから扇沢駅へはコンクリートの舗装路を徒歩で。

08:30

柏原新道から車道を歩いたたどり着いた扇沢の全景

柏原新道入口から歩くこと10分ほど。扇沢駅の建物が見えてきました。

扇沢駅

ここ扇沢駅をスタートしたのは7月9日(月)14:00頃。針ノ木雪渓を登り、新越尾根を縦走し、およそ66時間・3日ぶりに無事帰還です!

扇沢駅から信濃大町駅方面のバスターミナル

平日の朝だからか「アルピコ交通」の券売所はクローズされてます。時刻表をチェックすると、つぎのバスは08:55発。20分ほど時間があります。

扇沢駅で購入したお土産「黒部の破砕帯」

売店をウロついていると、「黒部の破砕帯」というお菓子を発見しました。

北アルプス登山でのお土産は「雷鳥の里」がぼくの定番なのですが、どうやらこれも「雷鳥の里本舗 田中屋」が製造元のようです。

せっかくですので、今回は「黒部の破砕帯」にしてみましょう。どちらも安い・うまい・軽いと三拍子そろった銘菓ですよね。

扇沢駅で飲んだ「松田乳業」の牛乳(富より健康)

びん入りの牛乳ってなんでおいしく感じるのでしょうか?

販売元の「松田乳業」は大正11年創立。北アルプス山麓にあり、新鮮な牛乳を通して人々の健康を願っているという素敵な会社です。

「富より健康」、本当にそのとおりだと思います。

近隣24校に学校給食用として納入されているとのこと。こども達はこの牛乳を飲んで健康に育つんでしょうね。

08:55

扇沢駅から信濃大町方面に向かうバス

定刻どおりやってきたバスに乗車し、北アルプスを去ります。まずは大町温泉郷へ。

09:10

大町温泉郷で途中下車して向かう「薬師の湯」の看板

薬師の湯」は大町温泉郷のバス停からほど近く、徒歩3分ほどの場所に。

大町温泉郷の「薬師の湯」の建物

まだ9時過ぎですが、7月1日〜10月31日の期間の営業開始時間はなんと7時。平日にも関わらず、すでに数組の利用者が。

種池山荘でゲットした割引券をちゃっかり活用させていただきます。

大町温泉郷「薬師の湯」の浴場入口

広大な敷地に大広間やラウンジなどを備えていて、想像していたより立派な施設です。

摂氏62.8℃の源泉を引湯している単純温泉(弱アルカリ性低張性中性高温泉)は筋肉痛などに効果的とのことで、登山後の疲労回復にもうってつけ。

10:10

工事中で閉館している「酒の博物館」

天然温泉で3日ぶりに汗を流し、身も心もサッパリしてバス停に戻ります。

気になっていた「酒の博物館」は、残念ながらメンテナンス中につき休館していました。

大町温泉郷から乗車した信濃大町行きのバス

ふたたびバスに乗車し信濃大町駅へ。

10:30

信濃大町駅の駅舎

信濃大町からはまず大糸線で松本へ向かうのですが、つぎの電車は約1時間後。

信濃大町駅前の風景

駅前をぶらついて時間をつぶすことにします。

信濃大町駅前の道路(横断歩道)

横断歩道を渡ろうと車が途切れるのを待っていたところ、ちゃんと停止線で止まってくれたことに驚きました。ありがとうございます。

信濃大町駅前のみやげ屋「アルプスロマン館」

適当なお店がなかったので、駅前に戻り「アルプスロマン館」へ。「雷鳥の里本舗 田中屋」が直営しているおみやげ屋さんです。

信濃大町駅前のみやげ屋「アルプスロマン館」で販売されていた「おやき」

入口脇で販売されているのは信州名物の「おやき」。いろんな味のバリエーションがありますね。

信濃大町駅前のみやげ屋「アルプスロマン館」で購入した「なすおやき」01

小腹が空いていたので「なすおやき」を注文。店内に招き入れてくださり、温かいお茶までいただいてしまいました。

信濃大町駅前のみやげ屋「アルプスロマン館」で購入した「なすおやき」02

なすおやきは間違いのないおいしさ。でも、「黒部ダムカレードッグ」もちょっと気になったなあ。

11:33

信濃大町に停車中の松本行きのJR大糸線

誰もいないホームと車内。駅の売店で購入したビールを持ってボックス席を確保します。

松本行きの大糸線車内で飲むサッポロ黒ラベル「信州環境保全応援缶」

このサッポロ生ビール黒ラベル「信州環境保全応援缶」は、長野県・10,000ケースの数量限定で発売されているもの。

売上1本につき1円が信州の環境保全活動を支援するために寄付されます。

パッケージにもデザインされている信州の自然やライチョウの保全を、ビールを飲むことで応援させていただきます!

13:02

松本から乗車する特急スーパーあずさ18号新宿行き

松本からは「特急スーパーあずさ」で新宿へ。いよいよ今回の山旅も終わりです。

新宿行きスーパーあずさ車内で缶ビールとおつまみ弁当(開封前)

駅構内の「特産品店レガロス」「駅弁あずさ」で購入したお土産と駅弁を持って乗り込みます。

新宿行きスーパーあずさ車内で缶ビールとおつまみ弁当(開封後)

購入した駅弁は「カワカミ」の「山里おつまみ弁当」。9つに仕切られたスペースに、ごはん1種・おつまみ8種がつめこまれています。

信州の魅力がたっぷり楽しめる駅弁で、今回の旅をしめくくることにしましょう。

信州安曇野浪漫「くろゆり」スタウトビール

食後には「安曇野浪漫ビール」の「くろゆり」を。ローストした麦芽の香ばしさと苦味が特徴のスタウトタイプで、すっきり辛口の黒ビールです。

山から帰ってくると、下界ってなんでもあって便利ですごいとしみじみ思います。

2018年7月9日(月)〜7月12日(木)の長期休暇は、北アルプスの針ノ木雪渓・針ノ木岳を満喫し、雪渓ビール・針ノ木ラーメンを満喫し、新越尾根を踏破!

はじめてのコースでしたし、小屋開け前だった山小屋での孤独なテント泊や、どこまでもつづく雪渓登りでの疲労困ぱいなど不安なこともありました。

でも終わってみれば、数々の絶景や可憐な花々そして縦走の満足感・感動など、いつまでも忘れないであろう思い出いっぱいの山旅になりました。

山行費用(合計14,893円)

  • 扇沢駅:1,189円(牛乳・お土産)
  • 扇沢駅-大町温泉郷:1,010円(バス)
  • 薬師の湯:500円(入浴)
  • 大町温泉郷-信濃大町駅:530円(バス)
  • アルプスロマン館:195円(食事)
  • KIOSK:484円(ビール2本)
  • 信濃大町-松本:670円(電車)
  • 特産品店レガロス:1,985円(お土産)
  • 駅弁あずさ:1,430円
  • 松本-新宿:6,900円(電車)

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ABOUTこの記事をかいた人

たかはし昇一

30歳から3つの「と」(投資・登山・トレーニング)を習慣にしたら人生が変わった金融系サラリーマン。1985年生まれ、東京都23区内在住です。2034年までに金融資産3,000万円の「アッパーマス層」になるため、「収入を増やす」「支出を減らす」「投資で増やす」をコツコツ実践中。