針ノ木雪渓|大沢小屋テント泊・雪渓登り・針ノ木ラーメン!

針ノ木雪渓

「雪渓」とは、渓谷に積もった雪が夏でもとけずに残る地帯。

クレバス・雪庇・落石などの危険がともなうため、歩行には「アイゼン」などの補助具を使用しつつ充分な注意が必要になります。

「針ノ木雪渓」は「白馬大雪渓」や「剱沢雪渓」と共に「日本三大雪渓」のひとつに数えられていて、日本を代表する雪渓です。

たかはし昇一は数年前にテレビで見た針ノ木雪渓の美しい映像がとても印象的で、いつか機会をみて行ってみたいと思っていました。

日本最大規模の雪渓とされる白馬大雪渓に比べると、針ノ木雪渓の知名度・人気はいまひとつな印象なんですけどね。

今年2018年は7月9日(月)〜7月13日(金)の長期休暇で北アルプスを縦走するつもりだったのですが、事前情報によるとまだ残雪が多くピッケルが必要とのこと。

北アにはちょっと早かったかなあと思いつつもあきらめきれず調べていると、針ノ木雪渓が通行可能との情報をキャッチ!

これ幸いと、「扇沢」を起点にして念願の針ノ木雪渓を登り「針ノ木岳」から「新越尾根」を縦走し「種池山荘」に抜ける山旅を計画しました。

ただこれまで雪渓登りと言えるほど長時間の雪面歩行をしたことがなかったので、針ノ木雪渓がぼくにとって雪渓デビューの地に。

いろんな意味で雪渓を甘く見てました…

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●Day1(2018.07.09.Mon.):新宿→大沢小屋

扇沢から大沢小屋までのルート地図

標準コースタイム

  • 09:00新宿-11:56松本(電車176分)
  • 12:11松本-13:05信濃大町(電車54分)
  • 13:15信濃大町駅-13:55扇沢駅(バス40分)
  • 14:00扇沢-15:30大沢小屋(徒歩90分)

コースタイム実績

  • 09:00新宿-11:56松本(電車176分)
  • 12:11松本-13:05信濃大町(電車54分)
  • 13:15信濃大町駅-13:55扇沢駅(バス40分)
  • 14:00扇沢-15:30大沢小屋(徒歩90分)

09:00

いつもの月曜日であればスーツにビジネスバッグで乗りこむ電車ですが、きょうはアウトドアウェアにバックパックという格好。

ビジネスパーソンでごった返す都会に場違いな服装と大きすぎる荷物に刺さる目線を切り抜け、まずは信州・松本へ向かいます。

中央線特急あずさの車窓から見た風景

特急あずさに揺られてしばらく時間がたつと、さっきまでの殺伐とした雰囲気と乱立したビル群がウソのような田園風景が広がります。

ちょっと早めの夏休み、待ちに待った山旅がスタートした実感が湧いてきました。

仕事から解放されてほっとする気持ちと旅に出るドキドキが混ざって…不安だけど、楽しみです。

中央線特急あずさで買ったコーヒーとサンドイッチ

車内販売でコーヒーとサンドイッチを購入。小腹を満たしながら、山旅の計画をおさらいしておきましょう。

松本からは「大糸線」で「信濃大町」へ行き、バスに乗りかえて「扇沢駅」へ。そこから山道を90分ほど歩けばきょうの宿泊地である「大沢小屋」。

初日のきょうは針ノ木雪渓直下にある小屋へのアプローチまでで、あした2日目の早朝から雪渓登りスタート。

雪渓を登りきったら「針ノ木峠」に建つ「針ノ木小屋」でテントを張り、コマクサの群生があるという「蓮華岳」をピストン。

3日目は、針ノ木小屋のテント場から針ノ木岳のピークを経由し、新越尾根を種池山荘まで歩く標準コースタイム7時間45分のロングコース!

最終日の4日目は種池山荘から「柏原新道」を下ってスタート地点の扇沢駅まで戻るだけ。

扇沢駅から帰りのバスに乗ったら「大町温泉郷」で途中下車。お風呂に入って旅の疲れを癒したい!

針ノ木小屋と大沢小屋は運営者が同一の様子。ホームページ「山小屋のご案内」を確認すると、いずれも営業開始しているようです。

大沢小屋のテント場が2〜3張り程度のスペースしかないという点が若干気がかり。

でも営業開始直後かつ平日ですからそこまでの心配はいらないでしょうし、もしテント場がいっぱいなら小屋泊まりでOKでしょう。

11:56

大糸線のホームから見た松本駅前広場

松本に来るのはどれぐらいぶりだろうか?街から北アルプスが見えるなんていいよなあ。

松本駅ホームに停車している新島々行きの電車

思わず新島々行きの「上高地線」に乗ってしまいそうになりますが、きょうは反対ホームに停車している信濃大町行きの大糸線に乗車します。

12:11

松本で乗り換えた大糸線・信濃大町行きホームと車両

平日なのであたり前ですが、車内は地元の学生や会社員ばかり。ぼくのような登山者や観光客はほとんど乗っていません。

信濃大町行の大糸線の車窓から見た風景

東京で暮らしているぼくからすると、安曇野で生まれ暮らしている人たちがうらやましい。

でもきっと、どんなにすばらしい田園風景だってあたり前すぎると見飽きてしまうのだろう。掛け替えのない大切さに気がつくのは大抵がそれを失ってからだ。

それに東京での暮らしはやっぱり便利で刺激的なんだろうなあ。

13:05

信濃大町の駅舎

信濃大町に到着したら電車の旅は終わり。駅舎を出て、ロータリー左手方向に建つ「アルピコ交通」の券売所で扇沢駅へのバス乗車券を購入します。

13:15

信濃大町駅から乗る扇沢駅行きのバス01

扇沢線のバスの車体にはゴールドで大きく「くろべ」の文字が。

信濃大町駅から乗る扇沢駅行きのバス02

ぼく以外の乗客は女性が2人ほど。どうやら登山者ではなく地元住民のようです。

信濃大町駅から扇沢駅へのバスチケット

雪渓登りをしたことがなく、針ノ木雪渓に行くのも扇沢線のバスに乗るのもはじめて。

わからないことも多くて不安もありますが、未知の土地へ新たな体験をしに向かうチャレンジにワクワクしますね。

13:55

扇沢駅

扇沢駅に到着。ここからトロリーバスに乗るとかの有名な黒部ダムに行けます。きょうは平日でもう昼すぎということで閑散としていますね。

水道・電気といった便利なライフラインに頼れるのはここまで!

念のため、大沢小屋に向かう前にトイレをお借りしたり装備をチェックしておくことにします。

14:00

扇沢から針ノ木岳への登山口

針ノ木岳への登山口は扇沢駅の建物の左奥。許可車両しか通行できない車道のゲート・守衛室脇にありました。

扇沢から大沢小屋までの登山道情報

※出典元:針ノ木小屋・大沢小屋 公式ホームページ「登山道の情報」

大沢小屋までの標準コースタイムは約90分。すでに14:00ですが、暗くなる前には到着できるでしょう。

登山道から見る黒部ダムへの関電トロリーバス

登山道脇に停車中のトロリーバスとターミナルが見えています。

針ノ木岳への登山道

うっそうとした樹林帯ですね。

扇沢から大沢小屋への登山道02

地図上でも登山道と車道が交差しているとおり、何度かコンクリートの舗装路をまたいで歩くことになりそうです。

扇沢から大沢小屋への登山道03

車道をそれて登山道へ。

扇沢から大沢小屋への登山道04

車道を横切って登山道へ。

扇沢から大沢小屋への登山道05

草木がたくさん茂っていて薄暗い!

扇沢から大沢小屋への登山道06

大きな岩がゴロゴロと転がりポッカリあいたスペースに出ました。足場に気をつけながら奥の樹林帯へ進みます。

扇沢から大沢小屋への登山道07

またまた車道を横切ります。

扇沢から大沢小屋への登山道08

左手にヘリポート・正面にトンネルが出てきたので舗装路を左に逸れ、針ノ木岳につづく登山道を進みます。

広場にはヘリが停まり数名の関係者の姿も。内ひとりがぼくに気がつき、どこまで行くつもりかと話しかけてきました。

きょうのところは大沢小屋までと答えると、なんと「大沢小屋はまだ小屋開け前だよ」と予想外の情報…なんてこった!

テント場の状況を教えてくれましたが、水場もまだ準備されていないため、途中にある沢で飲料水を確保する必要があるとのことです。

もしテント泊装備がなかったらひき返すしかない状況だったなあ。

扇沢から大沢小屋への登山道09

あわよくば小屋泊まりで、なんて考えていたアテが完全に外れました。

はじめて行くテント場なのに小屋開け前で無人かつ水場もないなんて…大丈夫だろうか?

こんなことなら扇沢駅で飲料水を確保しておけばよかった。それ以前に、夏山シーズン序盤で微妙な時期なんだから営業状況を電話でも確認しておくべきだった。

なんだか心細くなってきたので戻ることも検討しましたが、腹をくくって先に進みます!

扇沢から大沢小屋への登山道10

そういえば急に植生が変わりましたね。このあたりは日本海側の特徴をもったブナ林だそうです。

扇沢から大沢小屋への登山道11

なんどか沢を渡りながら、どこで飲料水を確保しようかと思案していると…

扇沢から大沢小屋への登山道12

「湧き水」と書かれた看板が立っていました。ここはきっと地図上にある「苔沢」でしょう。

扇沢から大沢小屋への登山道13

この澄みきった清流は湧き水で、どうやら名水のようですね。

試しに口にしてみると…臭み・雑味はまったくなく、冷たくまろやかでとてもおいしい水です!

さっそくハイドレーション「アンチドートリザーバー 3.0L」と水筒のナルゲン「フォールディングカンティーン 1.5L」をパックパックから出します。

扇沢から大沢小屋への登山道14
扇沢から大沢小屋への登山道15

どちらも口が大きくひらくので、水汲みも楽々です。

容器に透かして見てみましたが、不純物もなさそう。気がかりだった飲料水の確保がクリアされてよかったです。

扇沢から大沢小屋への登山道16

水のたくさん入った容器をぶらさげながら先に進むとより大きな流れがありました。きっと「赤沢」ですね。あとわずかで大沢小屋だ。

扇沢から大沢小屋への登山道17

本来であれば沢に丸太橋がかけられているのでしょうが、どこにも見あたらず右往左往。なかなか徒渉ポイントが見つかりません。

扇沢から大沢小屋への登山道18

川幅が多少せばまった場所を見つけ、意を決して向こう側へジャンプ!なんとか赤沢を渡れました。

対岸の茂みに入って進みますが、なんだか藪っぽい道ですね。まだあまり人が通ってないからかなあ…

扇沢から大沢小屋への登山道19

草木の向こうに大沢小屋らしき建物が見えてきました!

15:30

大沢小屋の外観01

扇沢から標準コースタイム通り約90分。きょうの目的地である大沢小屋に到着です。

大町アルペンラインが開通してからは大沢小屋に宿泊する登山者は少なくなりましたが、以前は周辺登山の重要拠点だったそうですね。

大沢小屋の外観02

昔ながらの山小屋風な建物で、想像していたより大きくてどっしりした造り。小屋開け前につき出入口は頑丈そうな扉でかたく閉じられています。

大沢小屋の周囲は木々に囲まれているため眺望はあまりないのですが、静かで落ち着いた雰囲気です。

大沢小屋からの風景01

テント場は小屋の反対側、登山道をはさんですこし小高くなった場所にあります。

大沢小屋テント場の入口

本来であればもちろん受付を済ませてから利用すべきなのですが、きょうは無人なので料金(500円)をお支払いしようがありません。

大沢小屋テント場の全景

心配していたテント場のスペースは…予想以上にせまい!たしかに2〜3張りが限度ですね。

大沢小屋テント場のたき火跡

誰かがたき火をしたような跡があります。

大沢小屋テント場の左奥

左奥の茂みの中にもう1張り分ぐらいのスペースはありますが、なかなかワイルドな環境のテント場。

大沢小屋テント場に設営したヒルバーグのテント「ウナ」01

ヒルバーグ「ウナ」シンプル&タフで理想的なソロテント!

いちばん出入口に近い場所に愛用のヒルバーグ「ウナ」を設営します。

大沢小屋テント場に設営したヒルバーグのテント「ウナ」02

テント脇は人ひとり通るのがやっとのスペースしかないので、もしこれから到着する登山者がいたら移動するか詰める必要がありそうです。

17:00

降雨の大沢小屋テント場でヒルバーグ「ウナ」のひさしに付いた雫

テント内でのんびりしていたら小雨が降り出しました。ウナには「ひさし」があるので、換気をしながらも雨雫の侵入をふせぐことができます。

大沢小屋からの風景02

雨は1時間ほどであがり、小屋近くから蓮華岳方面を見上げると青空が。あしたはよく晴れるといいな。

19:00

ヒルバーグ「ウナ」とランドポート「ソーラーパフ」

だいぶ薄暗くなってきたので「ソーラーパフ」を点灯。このランタンはソーラー充電式・防水で約75gと軽量。温かみのあるウォームライトで雰囲気もばっちりです。

ランタンの灯りを頼りに読書をしているとまた雨が。こんどは夕立のようで、さきほどとは比べものにならない雨量!

結局ぼく以外の登山者は大沢小屋に訪れませんでした。営業開始前、無人の山小屋の脇で孤独なテント泊です。

はじめての場所・水場もない・誰もいない、しかも大雨。山深いテント場にたった独り。

こわいと感じそうなものだけど意外と落ち着いていて、むしろ心地よいとさえ思える不思議な夜です。

深夜にふと目を覚ますと、雨はやみ静寂があたりを包んでいました。

じぶんの手さえ見えないほどの闇。森と一体化したような感覚を覚えて、また深い眠りに落ちました。

山行費用(合計8,930円)

  • 新宿-松本:6,900円(電車)
  • 松本-信濃大町:670円(電車)
  • 信濃大町駅-扇沢駅:1,360円(バス)
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●Day2(2018.07.10.Tue.):大沢小屋→針ノ木小屋

大沢小屋から針ノ木小屋へのルート地図

標準コースタイム

  • 05:00大沢小屋-08:30針ノ木小屋(徒歩210分)

コースタイム実績

  • 05:00大沢小屋-09:30針ノ木小屋(徒歩270分)

04:30

大沢小屋からの風景03

鳥のさえずりで目を覚ましテントから出て空を見上げると、澄みきった青空に朝焼けと月が。

お天気バッチリで絶好の登山日和になりそうです!

05:00

大沢小屋から針ノ木雪渓への登山道01

朝食を手早く済ませ針ノ木雪渓へ。雪渓には気温の上昇とともにガスが湧いてくるので、どうしたって気がはやります。

大沢小屋から針ノ木雪渓への登山道02

稜線上にはいまのところ雲ひとつなさそう。

大沢小屋から針ノ木雪渓への登山道03

登山道は昨晩の雨で濡れ滑りやすくなっています。砂利・岩が多くて、大沢小屋までの道とは雰囲気が違いますね。

大沢小屋から針ノ木雪渓への登山道04

対岸に滝と小規模な雪渓が見えます。

大沢小屋から針ノ木雪渓への登山道05

眼下には雪渓がとけてできた川がゴウゴウと大きな音を立てて流れています。

大沢小屋から針ノ木雪渓への登山道06

行く手をはばむ木のハシゴを慎重に登ると…

大沢小屋から針ノ木雪渓への登山道07

頭上の空が開けてきました!

大沢小屋から針ノ木雪渓への登山道08

雪渓に朝陽が射してきましたね。

こうやってさきほどより高い位置から見下ろしてみると、川の水量がとてつもないことがわかります。

大沢小屋から針ノ木雪渓への登山道09

そして、いよいよ前方にお目当ての針ノ木雪渓が姿を現わしました!

大沢小屋から針ノ木雪渓への登山道10

朝陽に輝く白い雪渓は美しく、快晴で空も青い!

奥に見えているのは針ノ木岳でしょうか?

大沢小屋から針ノ木雪渓への登山道11

岩場をトラバースします。滑りやすいので慎重に。

大沢小屋から針ノ木雪渓への登山道12

雪渓直下まであとすこしです。

大沢小屋から針ノ木雪渓への登山道13

この小さな沢を渡るのかな?

大沢小屋から針ノ木雪渓への登山道13

針ノ木雪渓は想像していたより小規模に感じられて、距離もあまりないように見えたのですが…

大沢小屋から針ノ木雪渓への登山道14

近くまで来てみると、やっぱりとてつもなく幅が広くて距離も長いことが実感できます!

大沢小屋から針ノ木雪渓への登山道15

ついに念願の針ノ木雪渓に降り立ちました。もう7月で真夏なのに、こんなに雪がのこる場所があるなんて不思議ですね。

雪はフカフカではなくシャーベット状でシャリシャリとした感触。雪渓登りをスタートする前に、軽アイゼンを装着しましょう。

針ノ木雪渓に登るために装着した軽アイゼン(ヒルサウンド「トレイルクランポン」)

この「トレイルクランポン」は、スパイクに炭素鋼を使用することで「柔軟性」と「高強度」を両立したもの。

ツメが大きく鋭いから雪面を確実にグリップしてくれますし、可動式でソールやわらかめのシューズにも抜群にフィット。

着脱が簡単で重量もペアで約450gと軽量と、チェーンスパイク以上・本格アイゼン未満の絶妙なスペックなんですよね。

今回のような雪渓登りや初夏の残雪期にぴったりでしょう!

「無雪期・3シーズンの高山」と「冬の低山」を楽しむぼくの登山スタイルに本格アイゼンは不要。

ガッツリ歩くならトレイルクランポン、お守りにはグリベル「スパイダー」があれば事足りてます。

06:30

針ノ木雪渓01

さあ、トレイルクランポンを装着して準備万端。針ノ木雪渓へ足をふみ出しましょうか!

針ノ木雪渓02

夏なのに雪があるなんて不思議だし、陽射しは暑いのに吹き下ろしてくる風は冷たい。雪渓、楽しいかも。

針ノ木雪渓03

ところどころに落ちているピンクリボンを目印にルート取り。雪渓の表面って、ツルツルではなくデコボコしてるんですね。

針ノ木雪渓03

ツメがサクサク効いて心地いい雪渓登りです。

針ノ木雪渓04

まだ登りはじめて30分ほどですが、ふり返るとかなり高度感が出てきました。

針ノ木雪渓05

追い越していただいた登山者がいるあたり、なんだか冷気が立ちこめていて向う側が見えません。

もしや、あそこが付近でもっとも傾斜がきつく幅がせまいという「のど」でしょうか?

針ノ木雪渓06

…間違いない。急に傾斜がきつくなりました。

針ノ木雪渓07

ひと息つきつつ後ろをふり返ると、吸い込まれそうな光景に恐怖!

針ノ木雪渓08

なかなか前に進みません。

針ノ木雪渓08

突如して強風が吹き冷気が襲ってきました!寒いっ!

針ノ木雪渓08

3人パーティーの後続が登ってくるのが見えます。正面・奥に見えているシルエットは爺ヶ岳?

針ノ木雪渓08

ようやく「のど」の先が見えて来ました。

07:45

針ノ木雪渓09

「のど」を越えた先には、針ノ木雪渓の神秘的な絶景が!

どこまでも広がる真っ白な雪渓に空のブルーと木々のグリーンがよく映えています。

針ノ木雪渓の「のど」

「のど」が冷気が飲み込む様子はまさに喉のよう。誰だ名付けたのかナイスネーミングです。

針ノ木雪渓10

まだまだ先は遠そう。でもしばらくは角度のゆるい斜面のようで助かります。

針ノ木雪渓11

そう思ったのもつかの間で、左方向に折れると地味な傾斜が延々と…ちょっと休憩して、3人パーティーに追い越していただきます。

針ノ木雪渓11

いや〜雪渓登りってけっこうキツいですね。

登り一辺倒で、腰を下ろして休める場所がありませんし、つねに足元や落石にも注意が必要だから神経もつかいます。

針ノ木雪渓12

進行方向左手の稜線上に雲が湧いてきました。

針ノ木雪渓13

右手に見えているのは針ノ木岳?こちらも雲がかかってきましたね。

針ノ木雪渓14

雪上の赤いマーカーに従い、岩場を縫うようにして右手に回り込みます。

針ノ木雪渓15

針ノ木雪渓を以前テレビで見たときは、たしかこのあたりから雪渓を外れて夏山ルートに入っていたはずです。

針ノ木雪渓16

岩場の先端に達したところで、ついに雪渓がガスで覆われてしまいました。

針ノ木雪渓17

マーカーは夏山ルートではなくガスの発生している上部に向かって雪渓上に続いています。

このあたりの傾斜も半端じゃないのですが、下山してくる登山者もチラホラ。こんな急斜面の雪面を下るなんて怖くないのでしょうか?

針ノ木雪渓18

ようやく雪渓の終わりが見えてきました!

右側の岩場が露出している場所へトラバースしながら登るのですが、ここまでの疲労もあってなかなか足が進みません。

しかも雪面が急角度でトレイルクランポンを装着していても滑りやすい。何度もスリップして手をつきます。

この最後の急登も、もしかすると「のど」と同等かそれ以上の傾斜があるのでは?

針ノ木雪渓19

峠に出る直前の部分はステップが切られています。ありがたいことです。

針ノ木雪渓20

雪渓を上部から観察するといかに急かがよくわかります。こんなところよく登ってきたもんだ。

おや、左側・手前に登山道らしきものが露出しています。

今回はシーズン序盤だったため、夏山ルートを使わずに針ノ木雪渓を下から上までフルに堪能できるコンディションだったのでしょう。

おかげさまで雪渓登りはもうお腹いっぱい。しばらく雪面を歩きたくないぐらいです!

針ノ木峠の標識

大沢小屋を出発して270分、標準コースタイムより60分遅れでようやく針ノ木峠に到着です。

…針ノ木雪渓よ、甘く見ていてごめんなさい。

神秘的で景色も美しい一方で、登り一辺倒に耐えうる体力の重要性や滑落・落石などの危険があることをリアルに感じました。

普段のぼくはトレッキングポールを使わない主義なのですが、さすがに雪渓登りではあったほうがいいかも知れませんね。

不安定な斜面で接地面が増えてバランスが安定しますし、腕に体重をかけることで脚の疲労軽減や回復も期待できそうです。

こんど雪渓登りをするときは、軽量・コンパクトなブラックダイヤモンド「ディスタンスカーボンFLZ」を買っておこう。

09:30

針ノ木小屋の外観

針ノ木小屋はブラック基調でシックな見た目のたたずまい。

針ノ木小屋の受付

小屋の中は明るく、木の温もりがいい感じです。さっそくテント場の料金700円をお支払いします。

無人の大沢小屋でテント泊させてもらったことを白状しましたが、料金は不要とのことでした。

針ノ木小屋で売られている雪渓で冷やされた飲み物

飲み物を雪渓で冷やすなんて、雪渓の近くに建つ山小屋ならではですね!よく冷えそう。

針ノ木小屋からテント場への登山道

テント場へは針ノ木峠から針ノ木岳方面にすこしだけ歩くようです。

針ノ木小屋で咲いていた花

花の名前を覚えるのは苦手ですが、この「チングルマ」ぐらいはなんとか覚えられます。

針ノ木小屋テント場に設営したヒルバーグ「ウナ」

テント場は、斜面にフラットなスペースが段々畑のように整備されています。最下段の広いスペースの隅にウナを設営。

小屋から針ノ木峠をまわり込むようにしてテント場に来ましたが、設営した場所から2〜3段上にもテント場から小屋に抜ける小道がありました。

針ノ木小屋テント場からの眺望

上空に雲が多いものの、テント場からの眺めは絶景です。晴れていれば槍ヶ岳など北アルプスの山々が見えるはず。あしたに期待しましょう。

針ノ木小屋で雪渓で冷やされたC.C.レモンを購入

テント設営を終え、小屋に戻ってC.C.レモンを購入。雪渓のおかげでやはりよく冷えてます。

小屋前のベンチに座って風景を眺めながら水分&糖分補給。雪渓登りで消耗した体力を回復させないと。

針ノ木小屋で購入したC.C.レモンを小屋前で飲む

このまま針ノ木小屋周辺でまったりするのもいいのですが、針ノ木峠の東に位置する蓮華岳にはコマクサの群生地があると聞いています。

ガスが増えてきてしまったので眺望は望めないでしょうが、まだ時間はたっぷりありますし、コマクサ観賞なら天気はそれほど関係なく楽しめるはず。

針ノ木峠と蓮華岳をピストンする稜線のお散歩に出かけましょう!

11:00

針ノ木小屋から蓮華岳へ向かう登山道01

蓮華岳へ向けて出発!針ノ木峠周辺はすっかりガスの中です。

 

針ノ木雪渓から湧いたガスが針ノ木小屋を覆う様子

すこし標高を上げてからふり返ると、針ノ木雪渓を昇ってきたガスが峠・小屋をすっぽりとのみ込んでいる様子がよくわかりますね。

針ノ木小屋から蓮華岳へ向かう登山道02

針ノ木峠から蓮華岳へは標準コースタイムで70分ほどの道のり。

針ノ木小屋から蓮華岳へ向かう登山道03

少々アップダウンのある稜線を進んでいきます。

針ノ木小屋から蓮華岳へ向かう登山道04

晴れていれば、きっと七倉岳方面もきれいに眺められるのでしょう。

針ノ木小屋から蓮華岳へ向かう登山道05

ガスってはいますが、森林限界を超えていて気持ちのいい稜線歩きです。

さっきまで不安定でスリップしやすい雪渓を登ってきたので、安定していてグリップが効くトレイルがとても快適に感じられる。

針ノ木小屋から蓮華岳へ向かう登山道06

稜線を境にして左側は晴れているのに右側はもうもうとガスがたちこめています。

山にはありがちですが幻想的な光景ですね。

針ノ木小屋から蓮華岳へ向かう登山道07

だんだん登山道からハイマツが少なくなって、岩・砂れきの比率が増えてきました。

針ノ木小屋から蓮華岳へ向かう登山道08

なんだか荒涼としていて地球じゃないみたい。

蓮華岳にあるコマクサの群生01

高山植物の女王コマクサは、こんな殺風景な砂れき地で可憐に咲いていました!

蓮華岳にあるコマクサの群生02

コマクサの群生地は北アルプスや八ヶ岳に多数存在しています。

でもここ蓮華岳周辺の群生地は、ロープ・柵での保護なしのナチュラルな状態。

それにもかかわらず、こんなにも咲きほこっているなんて驚きです!

針ノ木小屋から蓮華岳へ向かう登山道09

途中、強風が避けられそうなくぼ地にはコマクサ以外のお花畑も。

蓮華岳のお花畑01 蓮華岳のお花畑02 蓮華岳のお花畑03

こんな過酷な環境下でも、しっかり四季を感じとって健気に花を咲かせている。

高山植物って不思議ですね。

針ノ木小屋から蓮華岳へ向かう登山道10

よりいっそう殺風景になってきました。

蓮華岳にあるコマクサの群生03

こんなに立派なコマクサの株はじめて見ました!しかもまたすごい群生です。

蓮華岳にあるコマクサの群生04

ほんとうに蓮華岳のコマクサは見事ですね。もはや群生地として別格なんじゃないでしょうか?

針ノ木小屋から蓮華岳へ向かう登山道11

この稜線の先が蓮華岳のピークなのですが、ここでいよいよ降雨にみまわれてしまいました。

蓮華岳から針ノ木小屋への登山道01

ピークを踏むべきか迷いましたが、コマクサを心ゆくまで堪能してもう満足。きびすを返し針ノ木小屋のテント場へ戻ります。

蓮華岳はまた別の機会に、天気のいいタイミングで再訪したいな。

蓮華岳から針ノ木小屋への登山道02

帰り道、正面にあるのは針ノ木岳。以前としてガスの中です。

雨はザッと強まるタイミングもあったものの無風だったので、レインウェアを着ることなく傘でしのいでしまいました。

モンベル「サンブロックアンブレラ」はUVカット率99.7%を実現した晴雨兼用の軽量・折りたたみアンブレラ。

コンパクトで重量も約200gと軽量です。

遮熱性能も高いので、雨をふせぐのははもちろん炎天下での熱中症対策にも効果的なすぐれもの。

13:30

蓮華岳から針ノ木小屋への登山道03

稜線散歩を終えて針ノ木峠まで戻ってきました。針ノ木雪渓上のガスが消えてますね。

針ノ木小屋で売っていた雪渓で冷やした缶ビール

小屋にお邪魔して雪渓でキンキンに冷やされた缶ビールを1本。雪渓のおかげでいい絵になってますね!

針ノ木小屋にかかっていた「ラーメン」ののぼり

今回の山旅でひそかに楽しみしていたグルメ。それは針ノ木小屋の「針ノ木ラーメン」!

計画段階でホームページ上の食堂メニューで見かけてから、一体どんなラーメンなんだろうと気になってしょうがなかったんです。

針ノ木小屋の食堂メニュー

※出典元:針ノ木小屋・大沢小屋 公式ホームページ

「針ノ木ラーメンって、どんなラーメンなんですか?」

不安と期待を胸に小屋番さんに尋ねてみたところ、「あんかけラーメンです」というあっさりしたご回答。

どうやらネーミングに深い意味はないようです…

針ノ木小屋の自炊スペース

土間にある自炊スペースで針ノ木ラーメンの完成を待ちましょう。

針ノ木小屋の自炊スペースに座って見渡した景色

奥の調理場から針ノ木ラーメンの調理手順を確認し合う声が聞こえてきます。

小屋番さんが今夏のアルバイトさんにレクチャーしているようです。

もしかして今夏はじめての針ノ木ラーメン?

針ノ木小屋の自炊スペースで飲む雪渓で冷やされた缶ビール

ところでこの針ノ木小屋の缶ビール、いままで山小屋で飲んだ缶ビールのなかで1番の冷たさです!

雪渓は登ってよし・眺めてよし・冷やすのにもよし、なんですね。

と、そこに…

針ノ木小屋の針ノ木ラーメン01

お待ちかね、アツアツの針ノ木ラーメンです!

針ノ木小屋の針ノ木ラーメン02

ふむ、野菜入りのあんがたっぷりかかってますね。

正直なところ期待していたような「針ノ木感」は0ですが、ロケーション抜群の北アルプスの山小屋で食すラーメンがおいしくないわけありません!

針ノ木小屋の針ノ木ラーメン03

スープまで1滴のこさずいただいて完食!

今回の山旅の裏テーマでもあった針ノ木ラーメンの正体・味を確かめることができました。

おいしかった〜ごちそうさまです。

14:30

針ノ木小屋テント場の様子

テント場に戻るとテントが2張り増えていました。最上段に設営中の1張りも合わせて全4張り。

今夜も静かなテント泊になりそうです。

あしたの新越尾根縦走にそなえ、早めに飲料水の確保などの準備を終えて休むことにします。

針ノ木小屋は稜線の山小屋なのに湧き水をポンプアップしています。

雨水ではなく、そのまま飲用可能なおいしい水が1リットル200円で分けていただけるのはうれしいですね。

16:30

針ノ木小屋テント場で降る雨

昨夜の大沢小屋でのテント泊と同じように、夕方からは雨になりました。

ウナは換気がばっちりできるので雨降りでも快適です。

自己責任になりますが、テント内でガスバーナーを使っても問題ありません。

ヒルバーグ「ウナ」の優れた換気システム01

アウターにはひさしが設けられているため、開けっぱなしで換気しても雨は吹きこまず。

ヒルバーグ「ウナ」の優れた換気システム02

インナー上部をメッシュ状態でクローズすれば、通気は確保しつつ虫をシャットアウト。

ヒルバーグ「ウナ」の前室に置いたシューズと軽アイゼン

ウナは前室がないと誤解されがちですが、ペグダウンすることでシューズなどを置くには充分なスペースが生まれます。

針ノ木小屋テント場に設営したヒルバーグ「ウナ」での食事風景01

フライシートをたたく雨音を聞きながら、追加購入した缶ビールをチビチビと。おつまみは余った行動食の柿ピーです。

17:00

針ノ木小屋テント場に設営したヒルバーグ「ウナ」での食事風景02

マイ定番になっているアマノフーズの「畑のカレー」にサタケの「マジックライス」が今宵の夕食。

畑のカレーはたった150mlのお湯と60秒の時間でこのクオリティは驚異的。

同等の味のカレーには、自作でそう簡単には到達できないのではないでしょうか?

ぼくにとっては、このカレーとアルファ米さえあればそれだけで十分に贅沢なディナー。あしたの夕食も同じメニューです!

そして、今回の山旅から新たに導入した粉末スープが明治の「JAL ビーフコンソメ」。

針ノ木小屋テント場に設営したヒルバーグ「ウナ」での食事風景03

JALの機内食で好評のスープがベースになっていて、100%国産ビーフエキスの豊かな風味・コクが詰まった高品質ビーフコンソメです。

もともと、水分・塩分補給と食器汚れを落とす目的を兼ねて粉末スープを飲むことは多かったのですが、友人にすすめられて試してみることに。

たしかにおいしいですし、クルトンが入っているのも個人的にはうれしいポイント。これはレギュラー入り確定かな!

針ノ木小屋テント場に設営したヒルバーグ「ウナ」での食事風景04

あしたは早朝から針ノ木岳を目指し、ピークを経由して新越尾根を縦走します。

宿泊地の種池山荘までは標準コースタイム7時間45分のロングコース。しっかり食事と休息をとって体力を回復させておかないと。

シュラフに入って目をつむり、きのうからきょうにかけて経験した山旅に想いをはせます。

無人で水場もなかった大沢小屋での孤独で不安なテント泊。大雨、深夜の静寂と闇そして朝焼け。

針ノ木雪渓を目前にした感動。アイゼンをとおして脚から伝わる雪の感触。

まぶしく照りつける陽射しと雪渓を這うヒンヤリした空気に青い空。鋭角な雪の斜面で味わった恐怖と疲労感。

過酷な環境で可憐に咲くコマクサやチングルマの群生。雪渓でキンキンに冷えた缶ビールとアツアツの針ノ木ラーメン!

今後また雪渓登りにチャレンジする機会があっても、きょうのような好条件で雪渓を下から上まで踏破できるチャンスはもうないかも知れません。

甘く見ていただけに過酷でしたが、針ノ木雪渓はとても素敵な場所でした。

「大沢小屋からの風景」の回想 「針ノ木雪渓」の回想 「蓮華岳にあったコマクサの群生」の回想 「蓮華岳のお花畑」の回想 「針ノ木小屋で売っていた雪渓で冷やした缶ビール」の回想 「針ノ木小屋の針ノ木ラーメン」の回想

山行費用(合計3,400円)

  • 針ノ木小屋:700円(テント場)/1,300円(ビール2本)/1,200円(針ノ木ラーメン)/200円(水)
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ABOUTこの記事をかいた人

たかはし昇一

30歳から3つの「と」(投資・登山・トレーニング)を習慣にしたら人生が変わった金融系サラリーマン!1985年生まれ、東京都23区内在住です。2034年までに金融資産3,000万円の「アッパーマス層」になります!「収入を増やす」「支出を減らす」「投資で増やす」をコツコツ実践中!