アドラー心理学「嫌われる勇気」自己啓発の源流がここにある!

誰かが始めなければならない。他の人が協力的でないとしても、それはあなたには関係ない。わたしの助言はこうだ。あなたが始めるべきだ。他の人が協力的であるかどうかなど考えることなく。

※引用元:「嫌われる勇気」

アルフレッド・アドラー(1870-1937)はオーストリアの中産階級家庭出身で、精神科医・心理学者という肩書きをもつユダヤ人。

家族や幼いころのアドラー自身が病気に苦しんだことから医師を志し、1895年にウィーン大学・医学部を卒業したのち眼科医・内科医として診療をはじめました。

1902年にアドラーと同じくオーストリア出身のユダヤ人であり精神医学者のジークムント・フロイトに招かれ、共同研究者としてフロイトの研究グループに参加。

アドラーはもともとフロイトの理論を熱心に研究していたのですが、のちに方向性の違いからフロイトとは決別してしまいます。

そして1911年にフロイトらとの学説とは一線を画した「個人心理学会」を設立し、通称「アドラー心理学」と呼ばれる個人心理学を創始したのです。

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●「嫌われる勇気」アドラー心理学をストーリー形式で!

世界的にはフロイト・ユングとならんで「心理学の3大巨頭」とされながらも、日本国内では無名に等しい知名度だったアドラー。

2013年に発行された「嫌われる勇気(岸見 一郎/古賀 史健:著)」は、アドラーの思想を「青年と哲人の対話」というストーリー形式でまとめた一冊です。

著者プロフィール

  • 岸見一郎(きしみ・いちろう)

哲学者。1956年京都生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学。
専門の哲学(西洋古代哲学、特にプラトン哲学)と並行して、1989年からアドラー心理学を研究。
精力的にアドラー心理学や古代哲学の執筆・講演活動、そして精神科医院などで多くの「青年」のカウンセリングを行う。
日本アドラー心理学会認定カウンセラー・顧問。著書に『アドラー心理学入門』『アドラー 人生を生き抜く心理学』など。

  • 古賀史健(こが・ふみたけ)

ライター・編集者。1973年生まれ。出版社勤務を経て1998年に独立。
書籍のライティング(聞き書きスタイルの執筆)を専門とし、
ビジネス書やノンフィクションで数多くのベストセラーを手掛ける。
1999年に岸見氏の『アドラー心理学入門』に衝撃を受け、10数年越しで本企画を実現。
本書では共著者として執筆を担当した。 著書に『20歳の自分に受けさせたい文章講義』がある。

※引用元:「嫌われる勇気」公式ホームページ

青年」は学生時代に真理をもとめて「哲人」を訪ね歩いた岸見先生ご自身であり、そんな岸見先生と対話をくり返した古賀さんであり、この本の読者でもあります。

岸見先生の専門はギリシア哲学なのですが、「アドラー心理学の思想はギリシア哲学と同一線上にある」と語っています。

冷静沈着な哲人に対して血気盛んな青年が疑問を投げかけていく「プラトン哲学の古典的な形式」もギリシア哲学がベースにある岸見先生ならではですね。

青年が読者になりかわってぶつける疑問に哲人が答えるというスタイルなので、読んでいて高い納得感を得られます。

アドラー心理学は「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」とし、フロイト的な原因論ではなく「目的論」というスタンスをとるのが特徴です。

本のタイトルになっている「嫌われる勇気」は、青年と哲人が「自由」について議論する場面で登場します。

人間には「だれからも嫌われたくない」という傾向性がありますが、そのような本能的・衝動的な欲求に抵抗することのできる存在でもあります。

対人関係の悩みから解放され自由を得るには、他者に承認を求めることをやめ、他者から嫌われることをおそれずに自分のライフスタイルを貫く「勇気」が必要!

●アドラー心理学は「自己啓発の源流」だった!

複雑にからまった人生をシンプルにするには、他者の課題には介入せずじぶんの課題にはだれひとりとして介入させない「課題の分離」がスタート。

そして対人関係のゴールは、他者を「仲間」だと見なし、そこに「自分の居場所がある」と感じられる「共同体感覚」と、その先にある「幸福」となります。

アドラーは第一次世界大戦で1916年から軍医として従事し、戦場で多くの神経症患者を観察した経験から共同体感覚が重要であることを見いだしました。

対人関係において、ありのままのじぶんに自信をもって振るまうにも「自己への執着」から「他者への関心」に切り替えて共同体感覚をもつことが必要とします。

アドラーは大戦終了後、個人心理学の最新の基礎として共同体感覚を語りはじめましたが…みずからも「到達できない理想」と認めているぐらい難解な概念!

「共同体感覚」に必要な3つのキーワード

  1. 自己受容
  2. 他者信頼
  3. 他者貢献

※引用元:「嫌われる勇気」

アドラー心理学では、「他者貢献」を自由なる人生の大きな指針である「導きの星」ともしています。

過去」を見つめて「原因」を掘り下げようとするフロイトのアプローチに対し、アドラーは「目的」を探り「未来」を見つめます。

さらにアドラーは「トラウマ」にとらわれることを否定。

新しいライフスタイル」を選択し「人生を変える勇気」さえあれば、だれでも幸せになることができるとします。

たしかに、もしも「過去の原因」がすべてを決定するのであれば、ぼくらは過去に縛られたまま何もできないことになりますよね。

アドラーの目的論は「これまでの人生に何があったとしても、これからの人生をどう生きるかについてなんの影響もない」と言っていて、厳しいけれどポジティブで未来に希望がもてます。

  • 経験に与える意味によって自らを決定する
  • 大切なのは何が与えられているかではなく、与えられたものをどう使うか
  • 人生の意味は、あなたが自分自身に与えるものだ

※引用元:「嫌われる勇気」

シンプルでありながらも深淵なアドラーの思想は「勇気の心理学」とも呼ばれて、デール・カーネギー自己啓発のメンターにも多大な影響を与えています。

世の中には多くの「自己啓発本」がありますが、アドラー心理学を知ってしまうとそれらが全てアドラーのオマージュに思えてなりません。

アドラー心理学には「常識へのアンチテーゼ」という側面があります。

なかなか実行するのが難しいことも「自己啓発の源流」として普遍的であり続けている理由なのでしょう。

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●アドラー心理学と「岸見流アドラー的心理学」は別モノ!

たかはし昇一は「嫌われる勇気」をはじめて読んだとき、「人生のバイブル」と呼べる本に出会えたと感動したことを覚えています。

それはまったく新しい思想に触れた感覚ではなく、それまでのじぶんが漠然と感じ考えていたことが、およそ100年前の時点ですでに理論的に体系化されていたことへの感激でした。

出版不況の現代ですが、「嫌われる勇気」は50万部以上のベストセラーとなり、多方面から本の内容を支持する声があがっています。

アドラーの思想は先駆的すぎて「時代を100年先行した」といわれるほどだったそうなので、ようやく時代がアドラーに追いついてきたのかも知れません。

近年の働き方の多様化ソーシャルメディアの発達なども、人があらためて対人関係のあり方を見つめなおす契機になっている可能性がありますね。

もっと前からアドラーを知っていれば…と思ったものですが、哲人が青年に言い聞かせるように、ぼくも「しかるべきタイミング」でアドラー心理学を知れたのだと思っています。

とはいえアドラーは精神科医・心理学者で神様ではないので、その思想は完璧で唯一無二の正解ではないはずです。

ぼくは「嫌われる勇気」を読んでいて、アドラー心理学は「強者の論理」ではないかと感じてしまったのも事実。

生まれた境遇に恵まれず辛い記憶があったり、過去のできごとで心に深い傷を負っている人は現実にいます。

そのように事情があって苦しんでいる人に「そのライフスタイルはあなたが選んだもの」「あなたが変われないのは勇気がないだけ」と断言できますか?

また、本の中に「トラウマは存在しない」という記載があるのですが、どうやらアドラーの原著ではトラウマの存在は否定されていないらしく、あくまで「トラウマにとらわれるな」と言っているだけのようです。

あとがき」で、古賀さんは次のように語ってます。

しかし、そこである事実に気がつきます。わたしが求めていたのは、単なる「アドラー心理学」ではなく、岸見一郎というひとりの哲学者のフィルターを通して浮かび上がってくる、いわば「岸見アドラー学」だったのだ、と。

※引用元:「嫌われる勇気」

つまり「嫌われる勇気」で語られている内容は、アドラーの思想がベースにある「岸見流アドラー的心理学」であって、厳密にはアドラー心理学ではないのです!

この点を考慮せずに内容を鵜呑みにし、アドラー心理学をマスターした気になるのは危険です。

また実際にトラウマに苦しんでいる人に対して、この本の思想を押しつけるなんてもってのほかですね。

●アドラー心理学という「劇薬を飲む勇気」ありますか?

じぶんの人生じぶんで複雑にし「やれない理由」をあれこれとひねりだす苦しい生き方で、幸福に生きることをじぶんで困難にしている気はしませんか?

アドラーの思想によると「ライフスタイル」を選びなおしさえすれば、「界との関わり方」や「行動」が変わらざるを得なくなります。

過去のじぶんを断罪する必要はありません。

なぜならば「これまでの人生になにがあったとしても、今後の人生をどう生きるかについてはなんの影響もない」からです。

  • 人生における最大の嘘は「いま、ここ」を生きないこと。過去にも未来にもとらわない。
  • じぶんの人生を決めるのは昨日でも明日でもなく「いま、ここ」に生きるじぶん。

※引用元:「嫌われる勇気」

アドラーの思想はシンプルで、ともすれば「あたり前」のことを言っているだけのようにも思えますが、ポジティブ生きる勇気と希望が湧いてきます。

ただ全人類がアドラー心理学を学んでいるわけではないので、「課題の分離」や「共同体感覚」についての共通認識がないですよね。

他者からの協力が得られなければ、共同体感覚を得るどころか共同体から追放され孤立する危険があるので、非現実的な「理想論」とも受けとれます。

原因論」と「トラウマにとらわれること」を否定し、「目的論」を探ること。

ひとの悩みはすべて対人関係の悩みである」と考えること。「承認」を求めず、「課題」を分離すること…

アドラー心理学には「常識へのアンチテーゼ」という側面があるので、その内容は決して飲みこみやすいものではないですよね。

馬を水辺に連れていくことはできるが、水を飲ませることはできない。

※引用元:「嫌われる勇気」

アドラーの思想はただの水ではなく「劇薬」かも知れませんが、その思想が心の琴線に触れた「誰か」からはじめるべき。

そしてその「誰か」は、「嫌われる勇気」を読んだ「ぼくであり、あなた」です。

誰かが始めなければならない。他の人が協力的でないとしても、それはあなたには関係ない。わたしの助言はこうだ。あなたが始めるべきだ。他の人が協力的であるかどうかなど考えることなく。

※引用元:「嫌われる勇気」

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ABOUTこの記事をかいた人

たかはし昇一

30歳から3つの「と」(投資・登山・トレーニング)を習慣にしたら人生が変わった金融系サラリーマン!1985年生まれ、東京都23区内在住です。2034年までに金融資産3,000万円の「アッパーマス層」になります!「収入を増やす」「支出を減らす」「投資で増やす」をコツコツ実践中!